関谷孝文税理士事務所

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税金

退職金に係る税金

概 要

 退職金の増税が話題になっています。そもそも退職金は、長期間にわたる勤務の対価の後払いとしての性格があり、退職後の生活の原資に充てられることから、税制上優遇された措置が取れています。その優遇された措置について今回は解説していきます。

退職金とは

 まず、退職金とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう(所基通30-1)。と定義されています。しかし、退職に基因して支払われるものだけなく、以下に掲げる一時金も所得税法では、退職金とみなして計算されます。

(1) 国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法および独立行政法人農業者年金基金法の規定に基づいて支給される一時金

(2) 次に掲げる一時金(これに類する給付を含みます。)

1 改正前の船員保険法の規定に基づく一時金

2 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律附則の規定に基づく一時金

3 厚生年金保険制度および農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律附則第30条の規定に基づく一時金(令和2年3月31日において特例年金給付を受ける権利を有している者に対して支給するものに限ります。)

4 石炭鉱業年金基金法の規定に基づく一時金で坑内員または坑外員の退職に基因して支払われるもの

5 改正前の厚生年金保険法の規定に基づく一定の一時金で加入員の退職に基因して支払われるもの

6 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける一時金で加入者の退職により支払われるもの(その掛金のうちに加入者の負担した金額がある場合には、その一時金の額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限ります。)

7 特定退職金共済団体が行う退職金共済制度に基づいてその被共済者の退職により支給される一時金

8 独立行政法人勤労者退職金共済機構が中小企業退職金共済法の規定により支給する退職金

9 独立行政法人中小企業基盤整備機構が小規模企業共済契約に基づいて支給する一定の共済金または解約手当金

10 適格退職年金契約に基づき支給される退職一時金(その契約に基づいて払い込まれた掛金または保険料のうちに支給を受ける人の負担した金額がある場合には、その一時金の金額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限ります。)

11 平成25年厚生年金等改正法附則または改正前の確定給付企業年金等の規定に基づいて支給を受ける一定の一時金で加入員、加入者または企業型年金加入者の退職により支払われるもの(確定給付企業年金に係る規約に基づいて拠出された掛金のうちに加入者の負担した金額がある場合には、その一時金の額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限ります。)

12 確定給付企業年金法第91条の23第1項の規定に基づいて支給を受ける一時金で、企業型年金加入者の退職により支払われるもの

13 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約または個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金

14 独立行政法人福祉医療機構が社会福祉施設職員等退職手当共済法の規定により支給する退職手当金

15 外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で、上記(1)と(2)の1から5までに掲げる法律の規定による社会保険または共済に関する制度に類するものに基づき支給される一時金で、その制度の被保険者または被共済者の退職により支払われるもの

国税庁 No.2725 退職所得となるもの

の小規模企業共済の解約時に受け取る共済金や 13のidecoの60歳以降に受け取る老齢一時金なども退職金とみなされます。

退職金に係る税金の計算

 退職金に係る税金は、所得税と住民税です。その計算方法は、以下の通りです。

 (退職金  退職所得控除) ×  1/2 = 退職所得(税金の計算の対象になる金額)

  退職所得 × 累進税率 = 所得税及び住民税 

 まず、退職金から引くことができる退職所得控除というものがあります。この計算は、勤続年数(小規模企業共済やidecoの場合は、加入期間をいう。以下同じ)を基に算出し、以下のような計算方法になっています。

 ・勤続年数が20年以下の場合

  勤続年数×40万円

 ・勤続年数が20年を超える場合

  70万円 + (勤続年数ー20年) + 800万円

(例) 勤続年数 25年の場合

  70万円 + (25年ー20年) + 800万円 = 1,150万円

  退職所得控除が1,150万円ありますので、その金額以下の退職金の場合は、税金がかかりません。

 そして大きいのが、退職所得控除を引いた金額にさらに1/2をかけるという部分です。

(例) 退職金 1,500万円 勤続年数 25年の場合

 1,500万円 - 1,150万円 = 350万円 350万円 × 1/2 = 175万円

 1,500万円貰っても税金の計算の対象になる金額は、175万円になります。

 以下の表から175万円の区分の税率を掛ければ税金が算出されます。

175万円は15.105%の区分のため約26万円になります。

1,500万円貰って26万円の税金のため実効税率は1.7%(26万円÷1,500万円)となります。

おわりに

 退職金の税制は、退職所得控除というものがあり、かつ、その退職所得控除を差し引いた金額を1/2するので退職金のうち税金の対象となる部分を少なくなるので、税制上優遇されています。この税制上優遇されている部分に改正が入り増税する方向で検討されているとのことです。恐らくは、退職所得控除が変わると私は予想しています。

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